農業・食品加工の開業に必要な許認可一覧【2026年版】
開業までの手続きステップ
参入形態(所有・リース方式・法人化)を検討し、事業計画を策定する
農業委員会へ農地法3条許可申請、またはリース方式による利用権設定を行う
農地所有適格法人の要件を満たす場合は法人設立・登記手続きを進める
食品加工を行う場合は保健所へ営業許可申請または営業届出を提出する
6次産業化を目指す場合は総合化事業計画の認定申請を地方農政局へ行う
農業・食品加工の開業に必要な許認可の全体像
農業・食品加工分野で開業する際は、農地の取得・利用に関する許認可と、食品加工・販売に関する許認可の両方を検討する必要があります。参入形態(個人所有・リース方式・法人化)や加工品目によって必要な手続きが異なるため、事業計画の初期段階で全体像を把握することが重要です。本記事では2026年8月時点の情報として、代表的な許認可を一覧化し、開業ステップに沿って解説します。
| 許認可名 | 所管窓口 | 必要性 |
|---|---|---|
| 農地法3条許可 | 農業委員会 | 必須 |
| 農業経営基盤強化促進法リース方式 | 市町村・農業委員会 | 場合により必要 |
| 農地所有適格法人の要件充足 | 農業委員会 | 場合により必要 |
| 食品衛生法 営業許可 | 保健所 | 必須 |
| 食品衛生法 営業届出 | 保健所 | 場合により必要 |
| HACCP衛生管理計画 | 保健所 | 必須 |
| 6次産業化 総合化事業計画認定 | 地方農政局 | 場合により必要 |
| 食品表示法 表示基準遵守 | 消費者庁・保健所 | 必須 |
農地を取得・利用する際の許認可
農地を使って農業を始める場合、原則として農地法3条許可またはリース方式による利用権設定のいずれかが必要になります。所有せず借りる形態であれば初期投資を抑えられる点が特徴です。法人が農地を所有する場合は、農地所有適格法人としての要件確認も欠かせません。
農地法3条許可とは、農地の所有権や賃借権などを取得する際に農業委員会から得る必要がある許可のことです。無許可での農地取得は原則として認められず、契約自体が無効となる可能性があります。企業が新たに農業に参入する場合は、農業経営基盤強化促進法に基づくリース方式(利用権設定)を利用するケースが一般的です。この方式は市町村や農業委員会が関与し、所有権を移転せずに農地を借りて事業を行える点が特徴です。
また、農地を所有する法人形態を選ぶ場合は、農地所有適格法人の要件を満たしているか農業委員会に確認する必要があります。主な要件は以下の通りです。
- 法人形態が農業生産法人としての条件を満たしていること
- 農業関係者が総議決権の過半を占めていること
- 役員の過半数が農業に常時従事していること
参入形態の比較チェックリスト
- 初期費用を抑えたい → リース方式(利用権設定)を検討
- 将来的に農地を資産として持ちたい → 農地法3条許可による所有を検討
- 法人での事業拡大を目指す → 農地所有適格法人の要件充足を確認
食品加工・製造に関する許認可
漬物・惣菜・乳製品など食品加工を行う場合、原則として保健所への営業許可申請または営業届出が必要です。あわせて、全食品等事業者にはHACCPに沿った衛生管理計画の作成が義務化されています。業種ごとに許可基準が異なるため、事前に保健所へ相談することが一般的です。
食品衛生法に基づく営業許可とは、食品を製造・加工・販売する事業者が業種ごとに定められた施設基準を満たしたうえで保健所から得る許可のことです。例えば漬物製造業や惣菜製造業、乳製品製造業などは許可対象業種にあたり、施設の構造・設備基準を満たす必要があります。一方、許可不要業種であっても、食品衛生法に基づく営業届出の対象になる場合があるため注意が必要です。
さらに、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理とは、原材料の受け入れから製品の出荷までの工程で発生しうる危害要因を分析し、重要管理点を継続的に監視・記録する衛生管理手法のことです。2021年6月から原則として全ての食品等事業者に導入が義務化されており、小規模事業者向けには簡略化された「衛生管理の実施記録」での対応も認められています。
| 業種例 | 手続き区分 |
|---|---|
| 漬物製造業 | 営業許可(2021年より許可業種化) |
| 惣菜製造業 | 営業許可 |
| 乳製品製造業 | 営業許可 |
| 農産物直売所での小分け販売等 | 営業届出の対象となる場合あり |
6次産業化と食品表示に関する許認可
生産・加工・販売を一体化した6次産業化を目指す場合、地方農政局による総合化事業計画の認定を受けることで、補助や金融支援などの活用がしやすくなります。また、加工品を販売する際は食品表示法に基づく表示基準の遵守が必須です。表示ミスは行政指導や信用低下につながるため、初期段階から確認体制を整えることが望まれます。
6次産業化・地産地消法の総合化事業計画とは、農林漁業者が生産物を活用した新たな加工・販売事業を行う計画を地方農政局が認定する制度のことです。認定を受けると、農業改良資金の特例や補助金の優先採択など、支援制度の活用がしやすくなる場合があります。
食品表示法に基づく表示基準とは、原材料名・アレルゲン・原産地・栄養成分などについて消費者庁が定める表示ルールのことです。加工食品を販売する事業者は、パッケージや店頭表示でこれらの項目を適切に記載する必要があります。特にアレルゲン表示の欠落は健康被害につながる可能性があるため、原則として全品目で二重チェック体制を設けることが一般的です。
開業までの5ステップ
農業・食品加工事業の開業は、参入形態の検討から始まり、農地手続き、法人化、食品加工の許認可取得、6次産業化認定という順序で進めるのが一般的です。各ステップで所管窓口が異なるため、並行して準備を進めることで開業までの期間を短縮できます。
- STEP1:参入形態(所有・リース方式・法人化)を検討し、事業計画を策定する
- STEP2:農業委員会へ農地法3条許可申請、またはリース方式による利用権設定を行う
- STEP3:農地所有適格法人の要件を満たす場合は法人設立・登記手続きを進める
- STEP4:食品加工を行う場合は保健所へ営業許可申請または営業届出を提出する
- STEP5:6次産業化を目指す場合は総合化事業計画の認定申請を地方農政局へ行う
STEP2からSTEP4までは、事業内容によって同時進行できるケースもあります。例えば加工設備の設計段階で保健所に事前相談を行っておくと、STEP2の農地手続きと並行して施設基準の確認を進められる場合があります。
許認可取得後に活用できる補助金
許認可を取得したあとは、設備投資や販路開拓にかかる費用を補助金でカバーできる場合があります。農業・食品加工分野は国や自治体による支援制度が比較的充実しているため、開業計画の段階から補助金活用を視野に入れておくことが望まれます。
例えば、加工施設の整備費や機械導入費を対象とした補助金、6次産業化に関連する販路開拓支援などが挙げられます。対象となる補助金の種類や申請条件は年度によって変更される場合があるため、詳しくは農業分野の補助金一覧で最新の制度を確認することをおすすめします。
まとめ
農業・食品加工の開業には、農地に関する許認可と食品加工・表示に関する許認可の両方を段階的に取得する必要があります。参入形態や加工品目によって必要な手続きが異なるため、個別の判断が必要な場合は行政書士や農業委員会・保健所などの所管窓口へ相談することが一般的です。
本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。制度内容は変更される可能性があるため、最新情報は必ず所管窓口でご確認ください。
許認可の次は、開業資金に使える補助金を
農業・食品加工で使える募集中の補助金・助成金を、締切が近い順に掲載しています。
創業期に使える制度は公募期間が短いものも多いため、早めの確認がおすすめです。
よくある質問
Q. 企業が農業に参入する際、農地を購入する必要がありますか?
A. 必須ではありません。農業経営基盤強化促進法に基づくリース方式であれば、農地所有適格法人でなくても農地を借りて参入することが可能です。
Q. 農地所有適格法人とは何ですか?
A. 農地を所有できる法人形態で、事業内容・議決権・役員要件など農地法で定める基準を満たす必要があります。要件を満たさない場合はリース方式が選択肢となります。
Q. 自家栽培した野菜を加工販売する場合も許可が必要ですか?
A. 加工内容によって食品衛生法の営業許可または届出が必要です。漬物・ジャム等の製造は許可業種に該当する場合が多いため保健所への事前相談が重要です。
Q. 6次産業化の認定は必ず取得すべきですか?
A. 必須ではありませんが、総合化事業計画の認定を受けると補助金や融資などの支援制度を活用しやすくなるため、規模拡大を目指す場合は取得を検討すべきです。
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※本ページは一般的な情報提供です。要否・要件は事業内容や地域により異なります。最終確認は所管窓口または行政書士へご相談ください。